青ちゃんのプライベート暮らし

8月7日(月)~10日(木)東北お話キャラバン

忍耐・我慢することさせることは、苦いこと。 しかし、その実は甘い。(野口英世)

今回の東北お話ツアーは、陸前高田の小さなおうち訪問、宮澤賢治を深める、そして、初めての会津のお話を味わう それが、見事に実施され、新たなお話との出会い、今後の大きな展開となる大収穫をもたらした。

 

8月7日(月)

台風本土上陸という天気の心配の中、午前3時半、本日の目的地陸前高田経由遠野までの約800キロのスタート。朝日の昇る新潟平野を走り、会津若松6時半。ここで会津出身の大地保護者親子一組をピックアップして東北自動車道をひたすら雨の中を走り、懐かしの陸前高田に午前11時40分到着。3,11大震災後、東京子ども図書館の依頼で、トレーラーハウス図書館「小さなおうち」の内装建築を大地やお話畑で手がけた思いのある図書館。5年前に訪ねた以来の再訪に心ときめいた。休館日にもかかわらず、ご案内して下さった。中に入ると、その素晴らしい空間、心地よさ、暖かみ溢れる中にも、凛とした質の高さに感動した。心から、子ども達の成長を願い、思いを持って真摯に取り組んでいる熱気 思いを感じさせる空間世界であった。私たちが手作りした家具やテーブル、本棚なども、子ども達により歴史が刻まれ、良い色に変化して光沢を放っていた。自分たちの思いが、変わらずにここで生きていることに感激した。午後2時頃に遠野へ移動して、遠野の民話の世界を見学し、遠野の昔話を聞いた。雨が時折降る中、定番の場所、橋の下で野宿キャンプ。

 

8月9日(火)

しとしと降る雨の中、橋の下で元気に朝食。素晴らしい2本の虹に出会う。朝に花巻、宮澤賢治の世界へ移動。まず、羅須地人協会訪問。3度目の訪問。花巻農学校精神歌をじっくり読み込み書き写し、賢治の崇高な世界観、思いに涙する。その後、賢治記念館へ。3度目だけに、じっくり味わい深めることが出来、更に深い気づきがあった。お話同様、やはり3度の繰り返し、3回目の深さがあるのだろう。じっくりと、賢治の世界観、新たな面を発見、感じ取ることが出来た。花巻での昼食は、昨年出会った焼きおにぎりのお店。ここでゆっくりした後、賢治も気に入っていた小岩井農場へ。観光農場の裏にある古くからの農場や笈森などの世界を楽しんだ。岩手山は頂きを除き、ほとんどの姿を見せてくれた。その夜は、青少年自然の家宿泊。大勢の中高生達の熱気の中で過ごした。

8月10日(水)

昨晩台風の通過。大きな被害や大雨も無く、しとしと降る朝。今日は、会津若松まで300キロ弱の走行。野宿だったら早朝に移動出来るのだが、宿舎だと時間が制約される苦しさがある中での日中での移動。途中、世界遺産の中尊寺を見学。その凛とした美しさや先人の思いを感じた。午後2時会津若松着。白虎隊や鶴ヶ城を見学したが、忠臣やその精神、戦前戦中の特攻隊やお国のために死んでいった若者達との違いや共有点など、整理つかない複雑な気分を感じた。野口英世の青春記念館や七日町通りなどを見学したが、この野口英世が大きなキーワードの明日なることは、この時点では予想出来なかった。その夜は、約20年ぶり位前に、家族や野外教室で訪れた懐かしの青年の家宿泊。美しい月が昇る瞬間、満点の星を久しぶりに見ることが出来た。

8月11日(木)

久しぶりの美しい夜明け。窓から抜け出しバイクをおろして早朝の猪苗代湖ツーリングに出かける。磐梯山や猪苗代湖の夜明けをたっぷり楽しんだ。長男が5年生ぐらいでその長男が末っ子をおんぶして、家族で磐梯山登山したことが思い出される。午前7時、宿泊者全員での朝の会。こちらも、20年前の光景が思い出された。午前9時、やはり20年前に家族で訪れ強烈な印象が残る野口英世記念館を、思い出にとちょっと立ち寄ったが。ここでも宮澤賢治同様、新たな深い強い衝撃を受けた。苦しさ、貧しさ、忍耐、我慢、祈り、親の思い、など。現代の便利さ、快適さ、そして、子ども達から苦しさや苦労や切なさを排除し、楽しさだけを与えることが幸せだと考える風潮が多い中で、あえて真心の伴う、深い愛情の伴う忍耐や継続、反骨心の重さを感じ取れた。

忍耐は苦いこと。しかし、その実は甘い。我慢する事、させること のその末に結実する人生は・・・・・

その後、素晴らしい天気の中、猪苗代湖、磐梯山そして田んぼの風景の絶好の世界を、2人乗りのバイクツーリングをして喜多方市を訪問して、午後1時半、最後の会津の伝承語りの先生のお宅へ。まさに衝撃の世界、言葉では言い尽くせない感動と衝撃、これぞ昔話、その土地の面白さ、引き込まれる魅力。自然との共存や生き物たちとの暮らしの共存など、整理つかない言葉では言い表せない感動。妻は、ずっと涙を流し続けていた。まさに、今回のツアーの最大のクライマックスとなった。このあたりの感動は、妻がいずれ語るだろう。それ以上に、この先生の人柄、人間性が素晴らしかった。

 

会津若松 会津藩には、幕府の3大藩校の一つ、日新館があった。その教育の柱の一つに、父母を敬う という事があったり、会津藩家訓15箇条と什の掟がある。会津を旅して出会う人たちから、これらの教育の柱を感じる事が多い。現代でも、これらの精神が生きているらしい。また、民話や伝承の話も、しつけや教育的要素があったり、ハッピーエンドではない終わり方だったり、今回の伝承語りももそうだったが。ただ、わざと子どもに苦しさや厳しい教訓を与えるのでは無く、子どもを心から愛し、行く末を才覚を持って案じ、慈悲深い愛情を持った上でのものである深さを感じ取ることが出来る。

次回からの東北お話ツアーは、この会津だけで十分だろう。今回の会津での先生との出会いは、確実に大きな一歩になるだろう。素晴らしいツアーの結末であった。