青ちゃんのプライベート暮らし

8月22日(水)から24日(金)母子で登る火打山本格テント登山 幸運の女神!!

8月22日(水)

今夏、野外教室最後のプログラム、日本百名山火打山(2462m)登山。片道5時間、標高差1200mをテント類を担いで登る2泊3日の本格登山である。しかも、今回は、年中児3名を、母親が連れていく、全家族、それぞれ、テント、シュラフ、バーナー、食料など、全てを自分たちで背負い、それらの設営、食事準備、更に子どものお世話など、自分たちで責任をもって行うという内容。青ちゃんは、ガイドのみ。母親たちは、青ちゃんよりも重いザックを背負い、もちろん、子どもたちも、シュラフや食事を背負っている。

参加者は、幼稚園の在籍者であるが、本格的登山はもちろん初めての初心者である。しかし、今年の冬に、根子岳冬山バックカントリースキー登山を見事やり遂げた母子でもあるが。そんな母子(平日なので父親は不参加)に、今回の火打山は、劇的な素晴らしい贈り物をしてくれた。

 

朝6時半大地集合。7時半笹ヶ峰スタート。本日の走行距離7キロ、標高差1000m、予想時間6時間を予定。歩き始めて15分ほどで、予想通りあちこちから泣き声が聞こえ始める。本格的登山であり、荷物を背負い、延々と単調な道のりを歩く洗礼を受ける。が、泣いていても、その足取りは止まらないからすごい。黒沢尻で休み、それから12曲がりと呼ばれる急坂を、泣き声とともに登り切り、11時半、富士見平到着。昼食を食べてから、最後の緩やかな道を歩くと、目指す火打山が全貌を現す。見事な景色となる。午後1時半、野営地高谷池に無事到着。母子ともに、その根性と気力に敬服する。テント設営後、かの有名な天狗の庭湿原を散策。イワショウブ類が見事な紅葉を始めており、湿原の池には、火打山が鏡のように映っている。素晴らしい世界、光景が広がる。まさに楽園か。そして、爽やかな涼風が漂う。4時にテントサイトに戻り、乾燥米(事前に、本格的に作った各自作ってきたもので、水をかけておくだけで、お米になる)を水で戻し、各自、バーナーで、冷凍してきた大地オリジナルインド式スパイスカレーを作る。美しい湿原、火打山、テントサイトに囲まれ、更に涼風と、今日の達成感と心地よい疲労、静けさを味わいながらの夕食。どの顔も穏やかだ。子どもたちは、5時半には、テントに入り、6時には就寝。大人は、その後、夕暮れを楽しみ、後立山連峰、白馬3山や槍ヶ岳などの眺望を楽しみ、ミーティングに花を咲かせながら、8時就寝。月が登り、月明かりときらめく星空。明日の好天を祈る。

8月23日(木)

1時間ごとに☆空を観察しながら、月の沈むのを待つこと、午前2時、青ちゃんの記憶の中で10本の指に入るくらいの素晴らしい星空が広がる。妻とともにテントから顔を出しながら眠ったまま、星を眺め続ける。横のテントの母親たちにも声をかけて、この星空を眺めてもらう。天の川、流れ星、きらめく無数の星、これだけでも、登ってきた充実感がある。本当に、表現できないほどの美しい世界。そんな闇の中でも、火打山がシルエットを見せてくれる。素晴らしい頂上アタックとなる予感。午前3時。ヘッドライトをつけての頂上アタック。こんな登山は、熟練者や大学ワンゲルたちの定番であるが、今回も、大地は遂行!! 年中児、そして母親たちは、緊張感をもって、足元を照らしながら黙々と暗い登山道を登る。歩き続けて1時間、両線に出ると、一気に全員の口から歓声が上がる。地平線と表現してよいほどの山並みが赤く筋を描いたように赤く燃え始めている。日の出前の美しさ。この移り行くドラマを見ながら、頂上アタックを遂行していく。まさに、普段子どもたちが描くにじみ絵の世界が広がっていく。もうこの時点で、皆、感動と感激と歓声の渦の中で、高度を刻んでいく。午前5時、皆の顔が赤く染まり始める。見事な夜明け。富士山、八ヶ岳、南アルプス、日本海、佐渡島など、雲一つない世界のなかに、日本の全景が広がる。皆、その場でたたずみ、顔を真っ赤の染めながらのご来光を楽しむ。そして、最後の登りに挑み、午前5時30分、2462m山頂に登頂。2400mの焼山がお隣に座り、白馬3山、唐松、五竜、鹿島槍、槍ヶ岳、穂高、八ヶ岳、富士山、根子岳、に始まり、能登半島、日本海、日本のすべてを見渡すことができる眺望、雲一つない世界が広がった。青ちゃんの登山歴の中でも、10本の指に入る好天である。夜明け前の星空から続くこの幸運な世界は、母子で頑張った最高のご褒美であろう。

温かいコーヒーとパンやクッキーをほおばりながら、1時間ほど贅沢に山頂を楽しむ。他の登山者たちも、この時間に小さな子供たちが、ここにいることに驚くほどの、贅沢なそして劇的なアタックであった。その後、強風の中、慎重に下山しながら、天狗の庭を楽しみ、8時半にテントサイトに戻り、豆乳スープと手作りパンの朝食を楽しむ。

テント撤廃そして記念バッジをつけて、好天の中、午前11時、下山開始。本来の予定では、もう一泊してこの素晴らしい世界を満喫するはずだったが、台風の接近を予想し、青ちゃんの直感で、名残惜しみながら下山決定。ゆっくりと下山しながらも、そのアプローチの長さに時には閉口する。本日の走行距離は、頂上アタックを含めて、11キロに及ぶ。朝3時からの行動で大人も子供もへとへとになりながらも、黒沢尻の渓流で汗を流し、午後2時過ぎの昼食をとる。そして、午後3時半、無事登山口到着。そのまま、本日の大地㊙キャンプ地へ移動。今朝からの疲れもあり、そして、台風の接近もあり、荒天が予想されるので、東屋で眠る予定であったが、母親たちはテントを張りたいとのこと、この疲れの中で、テントを張りたいという気力とエネルギー、やはり人類最後に生き残るのはは親たちか!!  その素晴らしいエネルギーの敬服しながら、美しい池のほとりでテント設営、夕食準備をして、昨晩にも劣らない世界で夕食を楽しみ、その後テントにもぐりこみ、午後7時には全員就寝。大人は、美しい月と星空の下で、9時過ぎまで本格的な子育て論議を楽しんだ。青ちゃん夫婦は、テントの横で、野宿。

 

 

8月24日(金)

深夜雨が顔に当たりだし、すぐに東屋に避難。その直後から、恐ろしい豪雨と強風。テントが吹っ飛ぶのではないかと、雨でつぶれるのではないか(テントは、約30年前近くになるほどのダンロップVシリーズ4季用の年代物)と心配したが、朝4時ごろ、普通の顔で母親たちが、顔を出し、またまたその肝の座り方に敬服する。その雨も、5時過ぎには小雨となり、焼山が姿を見せてくれる。午前6時過ぎには、天気を見て素早くテント撤収。もう、見事な撤収ぶりで、この母子の山岳登山のノウハウは、かなり高いものになったと感じられる。やはり、原体験はすごい。温かいラーメンの朝食後、ゆったりと池の端で、雨上がりの世界を楽しむ。ゆっくり森を散歩し、風で落ちたトチノミをたっぷり拾い、子どもたちはトチノミのお店を開いて、キャンプの終了となった。解散後、再び、近隣の温泉で、示し合わせたこのように汗を流した。登山後の温泉が極楽以上の何物でもない。無事、下山した感慨を味わう。

山岳登山、山岳キャンプの世界、味わい、そして、その魅力、更に親子でもたっぷり満喫できることの可能性、素晴らしさを伝えなく、そして、家族でこんな世界を満喫してほしい、真の意味での自然との一体感、言葉や理論、知識でなない、体感的なファンタジーを味わってほしいという願いで、行った母子登山。「本当に楽しいことは決して楽ではない」という乗り越えた後での充実感、幸せ感。登山は、大人も子供もその距離、道のり、行程には、アドバンテージもハンディもなく、全て平等で、同じ距離をその足で同じく歩かねばならない。その意味で、対等な世界。子どもだから、大人だからの言い訳、ハンディもない。それだけに、お互いの力を認め合い、ほめあい、喜び合うことができる。まさに人間個人の付き合いがある。それを親子で体験できる世界。星のきらめき、輝き、静けさ、暗闇、夜明け、朝の始まり、ご来光、達成感、充実感、360度パノラマ、シンプルでもおいしい食事、川のせせらぎ、冷たさ、夕暮れ、・・・・・・・すべてが、完璧に整えられたかのように、今回は、自然がプレゼントしてくれた。懸命に、必死に、自分に正直に、汗を流し、子どもと向きあい、すべての暮らしを命がけで背負った親子にだけのご褒美だったと思う。感謝!!

これで、大地野外教室のすべてのプログラムが終了。この夏も、素晴らしいドラマチックなストーリーが刻まれた。還暦を夫婦で迎えた私たちにとって、本当に幸せな人生のひと夏が、またまた歴史となった。本当に感謝感激雨あられ!!!